母は花が好きだ。
それに育てることがとても上手だ。
だからわたしはたくさんのきれいな花を贈ったけれど。
いつからか、やめてしまった。
「この根はつきそうだねぇ」
と言って母は、ホームセンターで安値にされた花を手に取る。
豊満に咲く花はあるのに、日陰の隅で枯れかけた苗を買う。
家に帰って庭の日当たりの良い場所に植えてやる。
それが、数日後には…
ちょこんと緑の葉っぱをつけた。
「ほら、根も張ってきた」
母が嬉しそうに愛でる。
あたたかくなると、庭にたくさんの花が咲く。
あのときの萎えてた花も咲く。
種が落ち、いつのまにか増え。
たくさんの花が咲く。
母は花が好きだ。
それに、育てることがとても上手だ。
隅っこに置かれた花を見つけるのが上手い。
栄養を与えるのが上手い。
元気を与えるのが上手い。
適当な位置に植え、適当な肥料をやり、たまに撫でてやる。
場所を与え、ごはんを与え、優しいぬくもり。
だからこうしてわたしも育ったのだろうね。
私も母の花なんだ。
お母さんありがとう。
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